■VRS
VRSは仮想基準点方式と呼ばれ、複数の電子基準点の観測データーから、
測量現場のごく近傍にあたかも基準点があるかのような状態を作り出す技術です。
RTK-GPS受信機一台で高精度な測量を行うことができます。
電子基準点は、国土地理院より提供されていおり、この情報を利用することにより、
測量データの誤差を補正し、高精度な位置情報を取得できる仕組みです。
作業員は、現在の位置を計測し、これをVRSデータセンターへ携帯電話を通じて送信します。
VRSデータセンターでは、これを元に作業員の近くに目に見えない「仮想基準点」を設置します。
「仮想基準点」が設定された後は、作業員は移動局として単独で計測を行っていく事ができます。
■GPS測位における誤差要因
GPS測位を行う場合、衛星からの信号は地上の受信機に届くまでに、自然条件(対流圏・電離層)の影響や
衛星自体(時間同期・軌道誤差)の問題により「遅れ」や「乱れ」が生じ、地上での観測データに「誤差」が発生
します。
■VRSによる誤差補正の概略
VRSは、このような誤差を補正するための方式です。電子基準点の座標は、GPS基準点測量で、十分な解析
の元、正確に求められています。一方、様々な誤差要因により、通常、リアルタイムで取得した電子基準点の
座標値は、電子基準点の正規座標値と若干食い違います。
VRSは、電子基準点で取得しているリアルタイムデータと正規座標値とを24時間比較解析し、その誤差を解消した
補正データの送信を行なうシステムです。
リアルタイムデータ対応の電子基準点に囲まれたエリア内であれば、携帯電話網を使って、全国どこの現場でも、
補正データのサービスをご提供することが可能です(携帯電話網の中である必要があります)。
▼従来のRTK・GPS測量 |
▼VRS・GPS測量 |
・基準局と移動局の2箇所でGPSが必要
・基準局に作業員が必要
・設置に数時間 |
・仮想基準点利用でGPSは1台のみ
・移動局の作業員1名で観測可能
・設置は数分で完了 |
VRS-GPS利用形態
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スタティック/短縮スタティック測量 |
複数の既知点(標石基準点など)と新点にGPS受信機を設置し、取得した観測データを基線解析ソフトウェアで解析する方法。
既知点として電子基準点を利用することが可能になったため、新点のみの観測も可能、基線作成の自由度が高くなる、座標の信頼性が増す、などのメリットがあります。
公共測量では、主に1〜2級の基準点測量に使用されています。
※1級基準点測量では電子基準点のみを既知点とすることも可能です。 |
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ネットワーク型RTK-GPS測位(VRS方式) |
VRS(仮想基準点)方式によるRTK-GPS測位。観測地域の周囲の電子基準点網から、観測者の近傍の仮想基準点での観測データを生成してRTK-GPS測位を行う。
これにより基準局を設置する必要がなくNetSurv1台で作業できます。
公共測量では、「ネットワーク型RTK-GPSを利用する公共測量作業マニュアル(案)」に準拠した観測方法により3〜4級の基準点測量および地形・応用測量に使用できます。 |
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RTK-GPS測位(無線を使ったRTK) |
NetSurvの基準局、移動局間で補正データを無線送信することでGPS観測を行う従来型RTK。
特小無線や小エリア無線を使用し、数百m(最大数km)までの通信を行うことができます。
山間地など携帯エリア外で利用されます。
公共測量では、3〜4級の基準点測量および地形・応用測量に使用できます。 |
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RTK-GPS測位(サーバを使ったRTK) |
既知点に設置したNetSurvを基準局とし、複数の移動局に観測データを送信して、RTK-GPS測位ができます。通信に携帯電話や通信カードを使用するため、無線機などの機器が不要で無線通信の制限(距離や障害物)がない、などのメリットがあります。
公共測量では、3〜4級の基準点測量および地形・応用測量に使用できます。 |
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RTK-GPS測位(電子基準点を基準局と
するRTK/RRS方式)
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RTK-GPS測位の基準局として電子基準点を利用する方式(通信に携帯電話や通信カードを使用)。
NetSurv専用コントローラを用いて電子基準点の指定や最も近い電子基準点の検索が可能。全国約1200箇所の電子基準点を基準局として利用でき、離島での観測や各種点検測量など幅広い業務に有効です。
公共測量では、3〜4級の基準点測量および地形・応用測量に使用できます。 |
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VRSスタティック測位 |
既知点にGPS受信機を設置する代わりに、VRSとして生成した、その座標での観測データを利用することで、新点のみの観測で済ますことができます。
※VRSでの観測データはeSurvセンターより入手可能。 |
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